グリーントランスフォーメーション(GX)を実践するには?メリットとポイントを合わせて解説
グリーントランスフォーメーション(以下「GX」)への注目度は年々増しています。投資対象や取引先としての選定条件として、GXは今後より重要になっていくでしょう。
GXを推進することで、廃棄物排出事業者としてもさまざまなメリットを享受できます。ただし、GXへ取り組むにはカーボンニュートラルの目標を理解し、2030年までを目標とした具体的な数値目標を立てなければなりません。
本記事では、GXへ取り組むメリットと、推進する上でのポイントを2つ紹介しています。GX導入を検討している排出事業者の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
グリーントランスフォーメーション(GX)の実践が求められている
GXは、2020年10月に宣言された「2050年カーボンニュートラル宣言」を機に、日本で注目を浴びるようになった用語です。一般的には、温室効果ガスの削減を目指し、また産業競争力の強化と社会経済を変革させることを目的とした活動のことを指します。
国内ではGX実行会議が定期的に開催され、GX推進について有識者による議論が行われています。また、GXリーグが発足したことで、民間企業や学術機関も参加してより深い議論を行い推進していくことが求められています。
ひとつの企業に留まらずサプライチェーン全体を通して排出削減を進めていく方針のため、排出事業者としても取り組む必要があるでしょう。
企業がGXを推進するメリット
地球温暖化の深刻化や、世界的なSDGsへの取り組み、ESG投資の注目などを背景としてGXは今まで以上に事業活動に取り入れることを求められるでしょう。
企業がGXを推進するメリットは多くあります。省エネにつながる活動のためエネルギーコストの削減効果があることと、世界的に求められていることから企業ブランドのイメージ向上につながります。企業がGXを推進するメリットについて詳しく解説します。
エネルギーコストの削減
GXにおいて、企業に求められることの一つが「クリーンなエネルギーへの転換」です。温室効果ガスが発生する事業活動を、再生可能エネルギーを使用する事業活動へ転換することで、カーボンニュートラルを目指します。
短期的な目線でみれば、導入費用として一時的にコストがかかります。ただし中長期的な目線で見れば、光熱費や燃料費の削減につながるでしょう。再生可能エネルギーへの転換は、将来的にはエネルギーコストを削減でき、企業の利益となります。
エネルギーコストの削減は、SDGsへの取り組みにもつながるため、再生可能エネルギー活用は将来的には持続可能性の向上へと結びつきます。エネルギーコストの削減で支出を抑えることは、SDGsの観点からも、自社の評価を高めるきっかけとなるでしょう。
企業のブランディングになる
地球温暖化が進行していることやESG投資が注目されているという現代において、「GXへの取り組み」は企業に求められていること一つと言えます。GXに取り組むことは、企業に対する評価向上につながります。
GXへの取り組みを発信することで、企業活動を通した地球環境保護活動を対外的に認めてもらえるため企業のブランディングになります。
SDGsへ取り組んでいる企業としては、GXに取り組む企業は提携先として最適となるでしょう。またGXリーグに参加する企業は、リーダーシップを持ってGXを推進していくことが求められます。そのため対外的にも、より企業としての価値が高いことを印象付けることができるでしょう。
企業でGXを推進するポイント
GXリーグの基本構想には、企業がGXを推進する3つのポイントが挙げられています。「排出削減に取り組む」、「サプライチェーンに働きかける」、「製品やサービスを通じて市場に働きかける」の3つです。
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
排出削減に取り組む
「2050年カーボンニュートラル」の活動に賛同し、2030年までの具体的な削減目標を立てることが求められています。また、進捗を毎年公表し、目標達成までの過程を対外的に公表していかなければなりません。
まずは自社の温室効果ガス排出量に対する、現状分析が必要です。その後、排出量の削減や再生エネルギーへの転換が可能かどうか検討し、適切な目標を設定します。
さらに、その目標に対して削減量が達成できない場合は、カーボンオフセットの考え方で対応することが重要です。
カーボンオフセットは、環境保護への寄付などを通じて間接的に削減を促すことで、排出量の埋め合わせをする考え方です。基本的には排出量を抑えることが重要ですが、削減しきれない部分についてはカーボンオフセットの考え方で対処することで、目標達成を実行します。
サプライチェーンに働きかける
GXを推進するためには、排出削減に関して、自社で取り組むだけでなくサプライチェーン全体へ働きかけることが求められます。
サプライチェーン上流工程の企業に対しては、再生エネルギーの活用や排出量削減を促進し、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進することなどが具体例に挙げられます。
一方、サプライチェーンの下流である消費者に対しては、自社製品を通じたカーボンニュートラルの意識づけを行い、環境に配慮した消費行動を促進することが必要です。
カーボンニュートラルの実現は、短期的にはコスト増加につながることもあるため、長期的なメリットを説明し、サプライチェーン全体として地球温暖化対策に取り組むことの重要性を理解してもらうことが理想と言えるでしょう。
加えて、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現するためにも、自社のノウハウや技術を提供して、一丸となって目標実現へ動いていくことが重要です。GXリーグへの参加企業には、カーボンニュートラル実現へのリーダーシップの役割が求められることを理解しましょう。
製品やサービスを通じて市場に働きかける
環境への負荷が少ない「グリーン製品」を積極的に採用することで、市場のグリーン化を推進していくことが求められています。また、カーボンオフセットにつながる製品を作り出し市場へ投入することで、間接的に排出量削減を促すことができます。
グリーン製品の使用を社内で推奨したり、自社製品としてカーボンオフセットになる製品開発を行い販売したりすることが、カーボンニュートラルの概念に沿った事業活動となるでしょう。
また、カーボンニュートラルを目指すためには、製品のライフサイクル全体においてCO2排出量を削減することが不可欠です。そのためには、サプライチェーンの見直しや省エネルギー化、再生可能エネルギーの活用など、様々な取り組みが必要となります。
企業として、社会や環境への貢献を考慮した事業活動を行い、GXを通してSDGsの達成に貢献することが求められています。
まとめ
今回の記事では、企業がGXを実践するポイントとメリットについて解説しました。企業がGXを実践することで、自社のエネルギーコスト削減につなげることができ、また企業ブランドのイメージ向上にもなりえます。
GXを求める世界的な需要は、地球温暖化の進行とともに高まっていくことが予想されます。GXに取り組むことでクリーンエネルギーへの転換が推進され、長期的なエネルギーコストの削減につながります。削減したコストの分を新規事業や既存事業の拡大のリソースに充てることで、自社の成長へとつなげられるでしょう。
企業がGXを推進するポイントについては、GXリーグにおいて基本構想として定義されています。「排出削減に取り組む」、「サプライチェーンに働きかける」、「製品やサービスを通じて市場に働きかける」の3つがポイントとされており、リーダーシップをもって排出削減に取り組んでいくことが求められています。
サプライチェーン全体を通して取り組む必要があるため、関連事業者に理解をしてもらったうえで、長期的な視点で取り組むようにしましょう。