プラスチックの資源循環を追跡!処理施設視察レポート
今回は産業廃棄物に関してではなく、日々の生活と密接に関わる一般ごみについて取り上げます。家庭から出るごみのおよそ6割(体積)を占めている容器包装廃棄物は、多くの自治体で分別回収がなされています。
それを推進するきっかけとなった「容器包装リサイクル法」は、もともと最終処分場のひっ迫を背景に廃棄物削減を目的に制定されたのが始まりですが、昨今は海洋プラスチック、気候変動など世界規模の課題が取り上げられ、以前に増してリサイクルの重要性は認識されています。
缶、飲料用紙パック、ガラスびん、ペットボトル、段ボールなどが容器包装というカテゴリの中で再資源化されていますが、最も収集量が多いのがプラスチック製容器包装。どのようなルートをたどって再び利用されていくのか、千葉県柏市にある施設を見学させていただきました。
プラスチック製容器包装 処理手順の概要
訪れたのはプラスチック製容器包装の圧縮保管施設。家庭から回収されたものがまず運び込まれる場所です。選別・圧縮梱包処理の機能を持ち、再資源化事業者に引き渡すまでの中間処理を担います。
集められるのは『プラ』マークのあるプラスチック製容器包装に限定されており、マークのない薄いビニールやストロー、汚れのあるものは弾かれます。(自治体ごとに運用ルールは異なります。)
破袋機と呼ばれる機械で回収袋を破ったあと、風力、磁器装置、手選別などにより振り分けたのち、「ベール」と呼ばれる1辺1メートル程度のサイコロ状の塊(約260キロ)に圧縮します。ここプラスチック製容器包装 圧縮保管施設では週一回、100トン程度のプラスチック製容器包装が集まってきて、機械と人の手の合わせ技で異物を取り除き、圧縮梱包されていきます。
運び込まれるものが、どの程度の精度でプラスチック製容器包装を含んでいるのかは自治体により多少ばらつきがあり、100%近くに届いているところもあれば85%に満たないケースも見られます。機械の寿命がおよそ10年程度なのは、容器包装に付着した塩分で錆てしまったり、硬い異物が含まれていることによる損傷、リチウム電池の発火などが理由だそうです。こちらの施設でも、2023年に入ってからリチウム電池に起因するボヤが2度あったとのことで、分別徹底の必要性は解決すべき問題の一つとして残されています。
↑異物として混入していたもの。プラスチック製容器包装以外のものが一定量含まれている。
回収されたその先
年度ごとの入札によりどう再利用されるかは異なりますが、主に再生樹脂、パレット、土木建築用資材、園芸農業用資材などに生まれ変わる場合と、工業原料としてケミカルリサイクルされるケースがあります。
現状、日本容器包装リサイクル協会と契約のある市町村に関しては、プラスチック製容器包装として回収されたものにサーマルリサイクル(熱回収)の実績はなく、マテリアルリサイクルかケミカルリサイクルのどちらかで処理されているとのことでした。プラスチック製容器包装 圧縮保管施設では今年度、集められたものは擬木(本物の木を模したもので、耐久性があり屋外利用にも適している)として公園等の柵や案内板などに生まれ変わっているそうです。
プラスチック資源循環法を受け、どう変わるか
今後は容器包装のみならず、プラスチック資源をさらに包括的に、より高度な手法で分別回収していく環境が整備されていくでしょう。2022年4月に施行されたプラスチック資源循環法により、製品プラスチックに関してもライフサイクルを見直す動きが加速しており、国は資金面や方法論の部分で後押ししています。「設計・製造段階」「販売・提供段階」「排出・回収・リサイクル段階」それぞれのステージにおいて基準や認定制度が設けられ、それにより商品展開しやすくなったりリサイクル設備への支援が受けられたりします。製造販売者、消費者、自治体、排出事業者それぞれが当事者として積極参画することが期待されています。
参考:・環境省 容器包装リサイクル法とは プラスチック資源循環 ・公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会