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モビリティ産業におけるサステナビリティ最前線

モビリティ産業におけるサステナビリティ最前線

東京モーターショーから名称を変更し、2023年新たにスタートした「JAPAN MOBILITY SHOW 」。2023年10月26日~11月5日(一般公開は10月28日から)の会期中、100万人をゆうに超える来場者が訪れたこの大規模なイベントは、今回より自動車産業の枠を超え、モビリティ産業全体が表現される舞台となっています。株式会社CBAはその中の「Startup Future Factory」 というプログラムにおいて、環境・カーボンオフセットに関連するスタートアップ企業として招待されました。モビリティ産業の「今」を支える事業会社と「未来」を作るスタートアップのビジネスマッチングの場に参加させていただきました。

多くの人を惹きつけるモビリティというキーワードが、テクノロジーやサービスとの融合によりさらなる発展可能性を秘めていると、会場自体がそんなエネルギーに溢れていました。「JAPAN MOBILITY SHOW 」全体のキーコンセプトは「みんなで一緒に未来を考える場」。EVや安全に関する最新技術が披露されるとともに、カーボンニュートラル、バイオマス素材、リサイクル技術といった環境課題に向き合った展示も多く見られました。企業や団体が推し進める循環型社会に向けた取り組みを、いくつかご紹介いたします。

牛糞を原料としたカーボンニュートラル燃料、有機飼料の製造供給

スズキ株式会社は、インドにおけるCBG(Compressed Biomethane Gas:圧縮バイオメタンガス)事業に取り組んでおり、モビリティのメリットを享受しきれていない地域での移動価値を提供しています。牛10頭の1日の牛糞がクルマ1台の1日分の燃料に相当するといい、牛糞を原料とした地産地消型のカーボンニュートラル燃料に注目が集まっていました。3億頭いると言われるインドの牛から燃料を取り出すということで、地域で資源が巡る仕組みを推進したい我々にとっても興味深い展示でした。

商用車架装物リサイクルへの対応

トラック・バンの荷台架装やバス車体、トレーラや各種特装車と呼ばれるいわゆる「はたらくくるま」には、リサイクルへの取り組みとしてラベル制度があります。車体製品部材のリサイクル可能率が95%以上であることや、解体のしやすさが研究されていたり解体方法のマニュアルが公開されていることなど、一定の基準をクリアすると「JABIA環境基準適合ラベル」を張り付けることができます。使用済み架装物の解体作業の容易化を図り、再生資源の利用や適正な処理を促進する“環境にやさしい車体”であることを証明するもので、一般社団法人 日本自動車車体工業会 環境委員会が基準を策定しています。

環境省ホームページ「環境ラベル等データベース」にも登録され掲載されています。                     (参照:https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/touroku.html)                         部品ごとにリサイクルできる設計は、業界全体としても動きが高まっていました。

 

CFRPから炭素繊維を取り出すリサイクル技術

CFRPとは、炭素で構成される繊維に、合成樹脂などを組み合わせた複合素材(Carbon Fiber Reinforced Plastics)のこと。代表的な特長として強度と軽さがあり、自動車や航空機に多く使われている素材です。現在CFRPは大部分が埋め立てで廃棄されている現状がある中、豊田自動織機は世界初の100%リサイクル炭素繊維紡績糸を開発し、話題を呼んでいました。使用済みのCFRP製品を燃やし、樹脂を除いて炭素繊維のみ残します。取り出した炭素繊維を織物にし、成形・加工の過程を経て再びCFRPになるのです。新規に製造された炭素繊維と比べるとライフサイクルにおけるCO2排出量と廃棄量の大幅な削減が出来る見通しとのこと。豊田自動織機の長年の織物技術を活用したこの循環は、複合材業界と技術の発展を推進するフランスのJECグループより、「JEC COMPOSITES INNOVATION AWARDS 2023」を受賞しています。

CFRPは、軽量化がキーになるドローンやエアモビリティなど、先端技術における活用も大きく期待されている素材です。リサイクル技術が本格稼働するようになれば、環境負荷低減に大きく貢献することが出来ます。

業界やチームで一丸となれば、どんな分野のどんなアクションにおいてもポジティブなインパクトが与えられると、改めて感じることのできた活気ある催しでした。