サスティナビリティ・SDGs・CSR・ESGそれぞれの用語についてわかりやすく解説
2015年の9月に開催された国連サミットで、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す」という国際目標をあらわすSDGs。この目標期限まで残り10年を切りました。
世界規模のSDGs制定をきっかけに、日本国内でも企業の在り方として「サスティナブル・SDGs・CSR・ESG」の4つの言葉をよく目にするようになりました。
この4つの単語は内容が似ているため、混同される機会が多くあります。しかし、いずれの単語も廃棄物排出事業者にとっては重要な取り組むべきテーマです。SDGsをはじめとしたこれらの用語は排出事業者にとってはブランドイメージの向上や投資家へのアピールなど、取り組むことによるメリットは数多くあります。
今回の記事では4つの単語についての特徴と、それぞれがどのような違いがあるのかをわかりやすく解説します。
サスティナブルとは
直訳すると「持続可能な」となるサスティナブル(Sustainable)ですが、2015年に国連サミットで制定されたSDGs(Sustainable Development Goals)の用語とともに広まりました。
環境問題や人権問題よりも利益や効率だけを最優先する従来の企業活動とは違い、「環境・社会・経済」の3つの観点から持続可能な活動をしていくことを意味する用語です。
最も分かりやすいのが環境面への配慮です。環境へ配慮した企業活動へシフトすることで、地球の環境を壊すことなく持続可能な企業活動を継続して行っていくことができます。
「サスティナビリティ」という用語と混同されることが多いですが、サスティナビリティ(持続可能性)は名詞です。一方、サスティナブルは形容詞であり、意味合いは同じですが文面において使用される用途が異なります。
社会や経済などと合わせて使用する場合は「サスティナブル」であり、「サスティナブル社会(持続可能な社会)」のように使用されます。
サスティナブル経営とは
会社経営においては、サスティナブル経営という単語もよく聞くようになりました。サスティナブル経営は「持続可能な経営」であり、環境面や社会面への貢献を考慮した経営方針に取り組むことを指す言葉です。
事業内容とは全く関係のない活動をするのではなく、事業内容にサスティナビリティを取り入れることが重要です。サスティナブル経営へ取り組むことによって、企業ブランドのイメージアップにつながったり、新たな観点における新事業誕生のきっかけになったりします。
投資家の間でも、サスティナブルな事業への投資を行うブームがきてることもあり、サスティナブル経営への取り組みは投資家からの資金が集まりやすくなるメリットもあります。
SDGsとは
Sustainable Development Goalsの略であり、直訳すると「持続可能な開発目標」です。2015年9月の国連サミットにおいて制定された2030年までの到達目標であり、17に分類された目標で構成されています。
17の目標は多岐に亘る内容で、貧困や飢餓の問題から、ジェンダー間の不平等問題、気候変動などの環境問題や企業の在り方など様々です。
特に、12番目の目標に掲げられている「つくる責任、つかう責任」については、廃棄物の大幅削減が求められているように、排出事業者としてもSDGsに目を向ける必要がおおいにあると分かります。
また、目標はひとつひとつが単独で検討されるものではなく、全て連動して考えていく必要があります。例えば、廃棄物の大幅削減に対して「ごみを焼却し廃棄物を出さない」という手段をとった場合は、別目標の気候変動への配慮も行う必要があります。
17の目標を更に細分化し、具体的な目標として169項目のゴールが設定されています。例えば、ターゲット12.4には次のような目標が設定されています。
2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
引用:外務省HP
上記のように、17の目標それぞれに対して具体的な数値ターゲットが169項目にわたって設定されています。
CSRとは
corporate social responsibilityの略であり、直訳は「企業の社会的責任」です。社会的責任の範疇は広く、ステークホルダーや株主、または従業員や環境問題など関係する全てのことに対して企業が担うべき責務を示します。
CSRに取り組むことは、利益と効率のみを追求するような企業体質から脱却し、従業員に対する労働環境への配慮や環境汚染に関する問題などのような社会的責任の観点から、企業活動を見直すことにつながります。
食品の産地や消費期限などの情報を偽装した問題を発端に、CSRが注目されるようになりました。そのため、近年では年単位でCSRレポートを公開している企業も増えてきました。CSRに取り組むことで、社員のコンプライアンス向上や企業イメージの向上など、排出事業者側が受けられるメリットも様々あります。
ESGとは
Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の3つの頭文字を取ってESGとされています。ESGを取り入れることは、利益や効率を優先的に考えた経営方針とは異なり、環境問題への配慮や社会貢献、企業統治の観点を取り入れた新しい経営方針となり得ます。
2015年に世界最大の公的年金基金であるGPIFがPRIに署名したことをきっかけに、ESG投資が話題となりました。PRIは「国連責任投資原則」と呼ばれるもので、ESGの「環境・社会・企業統治」の視点を取り入れた機関投資家の投資原則です。
GPIFがPRIに署名したということは、ESGに取り組む企業への投資資金の流入を示唆するできごとであり、個人投資家からのESG投資が注目される背景となりました。
排出事業者にとってESGに取り組むことは、企業イメージのアップはもちろんですが、投資家から支援を受けやすくなることにもつながります。
まとめ
今回の記事ではサスティナブルについての特徴と、またサスティナブルとよく混同されがちなSDGs、CSR、ESGについてそれぞれの特徴と違いを解説しました。それぞれの特徴は次の内容となっています。
・サスティナブル ・・・ 「環境・社会・経済」の観点から持続可能性の向上を目指した活動を行う
・SDGs ・・・ 2030年までの持続可能な開発目標
・CSR ・・・企業の社会的責任
・ESG ・・・「環境・社会・企業統治」の観点を取り入れた経営方針
いずれの用語も「環境問題」や「貧困や教育の地域格差」のような、世界がこれまで課題としてきた内容に対する取り組み方の指標になるものです。
排出事業者としても、経営方針や事業内容に取り入れるべき内容であり、企業イメージの向上や社員のコンプライアンス意識の向上へとつなげていく必要があるといえるでしょう。