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事業系一般廃棄物と産業廃棄物の違いは?

事業系一般廃棄物と産業廃棄物の違いは?

廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分けることができますが、それだけではありません。

産業の定義は、

事業所において社会的な分業として行われる財貨及びサービスの生産又は提供に係るすべての経済活動

引用:「日本標準産業分類の一般原則」(総務省)

とされていますが、全ての経済活動に伴い排出される廃棄物が「産業廃棄物」というわけではないのです。

経済活動によって排出された廃棄物は、事業系一般廃棄物か産業廃棄物に分けられます。

今回は、事業系一般廃棄物と産業廃棄物の違いについて、正しい知識と見分けるポイントを紹介します。

事業系一般廃棄物と産業廃棄物とは

事業系一般廃棄物と産業廃棄物の定義は、次のとおりです。

・産業廃棄物…経済活動に伴い生じた廃棄物のうち、法令で定めた12種類の廃棄物と特定の業種により排出された7種類の廃棄物、産業廃棄物を処理するために処理したもの

・事業系一般廃棄物…経済活動に伴い生じた廃棄物のうち、産業廃棄物を除く廃棄物

このことから、特定の業種に当てはまらない場合、定められた12種類のみが産業廃棄物であり、それ以外は事業系一般廃棄物であることがわかります。

また、特定の業種であっても定められた20種類以外の廃棄物は事業系一般廃棄物に分類されます。

事業系一般廃棄物と産業廃棄物の違い5つのポイント

双方の違いをわかりやすく5つに分けると下記のように区別できます。

1.処分範囲の違い

産業廃棄物の処分先は許可を有している廃棄物処理施設となり、県内外への広域処理ができます。しかし事業系一般廃棄物の場合は、原則として都道府県外での処分は行えません。

・事業系一般廃棄物・・・市町村などのクリーンセンターなど
・産業廃棄物・・・許可を有している廃棄物処理施設

2.管轄する行政区分の違い

事業系一般物と産業廃棄物では届出や処理に関する行政区分が異なります。

・事業系一般廃棄物・・・市町村が管轄
・産業廃棄物・・・都道府県(もしくは一部の政令指定都市、中核市)が管轄

市町村、都道府県ごとに廃棄物に関しての受入基準やガイドラインが定められています。

3.産業廃棄物は場所ごと、品目ごとに許可が必要

事業系一般廃棄物は、市町村から「一般廃棄物処理業」の許可を受ければ全ての一般廃棄物を処理することができます。

しかし、産業廃棄物の場合は、収集を行う場所(積込地)と処分を行う場所(積降地)ごとに管轄する都道府県から許可をとらなければなりません。(※一部の政令指定都市、中核市を含む)

また、取り扱う品目ごとの許可も必要です。

4.産業廃棄物の方が管理が厳格

産業廃棄物は、収集されるまでの保管基準が定められています。

産業廃棄物が雨などで外へ流れ出ないようにするほか、害獣や虫を集めないようにするなどの配慮はもちろんですが、安全に保管するために下記のような決まりもあります。

・囲いの設置…保管場所の周囲に囲いを設け、廃棄物の状態により囲いの耐荷重性も考慮する

・掲示板の設置…囲いの中に産業廃棄物を保管していることがわかるよう、サイズや記載内容を満たした掲示板を設置する

・保管できる量…原則、1日当たりの処理能力の14倍までを保管上限とする

事業系一般廃棄物は法令で定められた保管方法はないため、市区町村が定めた条例に従います。

5.排出から処分までの管理

産業廃棄物は、不法投棄や違法な処理を防ぐために契約から収集、運搬、処分まで全ての工程が正しく行われているか情報を残しておく必要があります。

産業廃棄物を委託する場合、これらの必要事項があります。

・産業廃棄物収集、運搬、処分に関わる許可、排出する廃棄物を扱える許可の確認
・処分先の確認
・収集・運搬業者、処分業者との契約・契約書の保存
・産業廃棄物管理票(マニフェスト)で収集から処分までの工程を管理・保存
・産業廃棄物の収集から処分までの報告

一方、事業系一般廃棄物には委託契約書を交わすほか、マニフェストを交付する義務もありません。ただし、廃棄物の量など一部条件によってマニフェストが必要になる場合があるため、必ず条例を確認しましょう。

また、義務付けられていないものの委託業者とのトラブルを避けるため、契約書を交わすのが一般的です。

産業廃棄物の具体例は?

産業廃棄物は20種類に分類でき、その中で全ての業種が該当する12種類と、特定の業種にのみ該当するもので分けられます。

産業廃棄物の20種類

・1.廃プラスチック類・・廃タイヤ、合成繊維くず、ビニールシートくず等
・2.ゴムくず・・・天然のゴムくず(合成ゴムは廃プラスチックとなる)
・3.金属くず・・・鉄くず、空き缶、スクラップ、トタン、研磨くずなど
・4.ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず・・・廃空ビン類、板ガラス、ガラス繊維くず、ガラスカレット、断熱材(グラスウール)など
・5.がれき類・・・工作物の新築、改装又は新築の除去に伴って生じたコンクリートくず、アスコン、レンガ等の破片

・6.燃え殻・・・焼却炉の残灰、石炭残さ等の焼却残さ
・7.汚でい・・・製造、排水処理から出る全ての汚でい
・8.廃油・・・鉱物性油、動植物性油に係る全ての油
・9.廃酸・・・全ての廃酸性液
・10.廃アルカリ・・・全ての廃アルカリ液
・11.鉱さい・・・電気炉等の鉱さい、廃鋳物砂
・12.ばいじん・・・ばい煙発生装置施設等の集塵機ダスト
※・13.紙くず・・・建設業、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業に限定

※・14.木くず・・・建設業、木材又は木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業に限定(木製パレットは業種限定なし)

※・15.繊維くず・・・建設業、繊維工業
※・16.動植物性残さ・・・食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業

※・17.動物のふん尿・・・畜産農業
※・18.動物の死体・・・畜産農業
※・19.動物系固形廃棄物・・・と畜場、食鳥処理場

・20.産業廃棄物を処理するために処理したもの

1から12は排出事業者の業種に関わらず産業廃棄物に分類され、13から19はそれぞれ特定の業種のみ産業廃棄物に分類します。

特別管理産業廃棄物

通常の産業廃棄物と違い、健康に被害を及ぼすものや地球環境に悪影響を与える廃棄物を「特別管理産業廃棄物」とよび、以下が挙げられます。

・廃油・・・揮発油類、灯油類
・廃アルカリ・・・㏗12.5以上の廃アルカリ
・廃酸・・・㏗2.0以下の廃酸
・感染性廃棄物(血液の付着した注射針等)
・PCB汚染物・・・PCBに汚染された汚泥、廃プラスチック類、木くず、紙くず、繊維くず、金属くず、陶磁器くず、がれき類など
・PCB処理物
・廃石綿(アスベスト)

事業系一般業系廃棄物の具体例

事業系一般廃棄物として扱われるのは、上記の産業廃棄物以外で経済活動によって排出された廃棄物を指します。

・レストランや飲食店から出る残飯類
・オフィスから出る紙くずや梱包に使用した木くず、段ボール
・小売店から排出される野菜くず、魚介類等など

木くずや紙くずなどは産業廃棄物の項目にありますが、特定の業種以外から排出された場合には事業系一般廃棄物として扱われます。

まとめ

経済活動を伴わない廃棄物は一般廃棄物であり、経済活動を伴い排出された廃棄物のうち法令に定められたものは産業廃棄物、それ以外は事業系一般廃棄物として扱われます。

また、PCBが付着したものなど健康や地球環境に悪影響を及ぼす廃棄物は業種を問わず特別管理産業廃棄物です。

このように、同じ廃棄物でも経済活動の有無や業種、廃棄物の状態によって取り扱い方法が変わります。

例えば住居兼飲食店の場合、生活によって排出した廃棄物は一般廃棄物ですが、飲食店部分から排出した廃棄物は事業系一般廃棄物や産業廃棄物に分けて扱わなくてはなりません。

他にも、動物のふん尿は畜産農業から排出された場合は産業廃棄物として処分されますが、ペットショップや動物病院から排出された場合は事業系一般廃棄物に分類され、家庭のペットのふん尿は家庭ごみとして一般廃棄物に分類されるなど、同じ廃棄物でも扱いが変わります。

このように、廃棄物は「どんな廃棄物か」に加えて「誰が出した廃棄物か」「どのような状態のものか」も重要とされ、それらによって扱いが大きく変わるのです。

今回は、具体例を交えて産業廃棄物と事業系一般廃棄物の違いを解説しましたが、産業廃棄物と一般廃棄物は各都道府県により取扱品目が異なる場合があります。

廃棄物を処理する際には、必ず各都道府県の廃棄物に関する規則を確認し、適切に行いましょう。